それぞれのスポーツでそれぞれの記録というものがあります。
記録があるからそれに挑戦し新たな記録を出す人が出てくる、そして何人も
の人が世界記録を塗り替えています。マラソンの42,195kmも世界記録があ
りトップアスリートはこの記録に向かって日々トレーニングを繰り返してい
ます。
記録の始まりは
1896年の第1回アテネオリンピックでギリシャのスピリドン・ルイス選手
が2:58:50で走った記録があったがこれは距離が40kmでした。
マラソンの距離は40kmとはなっていたものの第5回ストックホルムオリン
ピックでは40,2km、第7回アントワープオリンピックでは42,75kmと大会
によって定まっておらず、第8回のパリオリンピックより正式に42,195km
となりました。
半端な2.195kmは1927年のパリオリンピック開催当時のアレキサンドリア
王妃の前でゴールするようにしたところ距離が半端に伸びたようですがこれ
が王妃の意見なのか周りの主催者側が気を使ったのかは不明です。どちらに
しても距離が決まったことで目標がはっきりとして記録の更新に役立った事
は間違いありません。
記録の更新のペースは
第4回ロンドンオリンピックで初めて42,195kmの距離になり1908年にジョ
ニーヘイズ選手が2:55:18の記録を出している。
それから数々の記録が塗り替えられてから2018年にエリウド・キプチョゲ選
手が2:01:39の最速の記録を出しています。
これを計算してみると110年で53:39縮めているのです。
ということは1年間で29.2 秒を縮めていることになります。
とすると今注目されている2時間を切る記録はあと3年から4年後ということ
になる計算です。
しかし近年の記録を見てみると
2008年エチオピアのハイレ・ゲブレセラシェ選手が2:03:59
2014年ケニアのデニス・キプルト・キメット選手が2:02:57
ハイレ・ゲブレセラシェ選手が2:03:59の記録を出してからデニス・キプル
ト・キメット選手が2:02:57の記録を塗り替えるまで62秒を6年かけて縮め
ています。
そこからさらに現在の記録エリウド・キプチョゲ選手の2:01:39まで4年で
42秒の短縮。
ここ10年でみると1年に10秒づつ縮めていることになる。限界に近づいてい
るのか?ここからは記録の更新は1年に数秒単位になっていく可能性が高そ
うです。
これを見ると2時間を切るのはまだ10年以上かもしかすると20年ほどはか
かりるかもしれませんね。
日本のマラソン記録は
世界記録を塗り替えた日本人は現在までに5人存在する。
1935年に鈴木房重選手が2:27:49
1935年に池中康雄選手が2:26:44
1935年に孫 基禎選手が2:26:42
1960年に寺沢 徹選手が2:25:16
1965年に重松森雄選手が2:12:00
という世界記録を出している。ちなみに孫 基禎選手は翌年1936年のベルリ
ンオリンピックに日本代表として出場し2:29:19秒で日本男子マラソン唯一の
金メダルを獲得してる。
この約30年間戦争を挟んだこの頃は食生活や生活習慣が大きく変わる前であ
ることに起因するようにも思います。
一方現代の日本人の記録を見てみると現在は昨年2018年に2月に設楽悠太選手
が16年ぶりに2:06:11と記録を塗り替えたかと思った8ヶ月後の10月に大迫 傑
選手が2:05:50と21秒上回った記録を出した。
日本記録はまだまだハイペースで記録が伸びる要素があるようだ。大迫 傑選手
はナイキ社が打倒アフリカ勢を掲げた長距離走強化の超エリートランナーを集め
たチーム、ナイキオレゴンプロジェクトに所属し近代的、効率的なトレーニング
をしていることもあり期待は高まります。
もう一つは日本記録がなかなか更新されないことや2020年のオリンピックに向け
てマラソン選手の強化の為日本実業団陸上競技連合は2015年3月に特別強化プロ
ジェクトということで報奨金制度を設けました。これにより記録を更新した設楽
悠太選手、大迫 傑選手は1億円を報奨金として受け取っているのです。この辺
も一つのモチベーションになっているのではないかとも思います。
記録更新のモチベーションである賞金
ちなみにマラソンには賞金があります。東京マラソンでは1位が1100万円、
2位400万円、3位200万円、そして世界記録が出た場合は3000万円のボー
ナスも出ます。もし今回(2019年)の東京マラソンで日本人選手が優勝し、
かつ世界記録を出したとしたら1億4100万円が貰えたことになります。
世界のマラソン大会優勝賞金ではドバイマラソンが25万ドル(2260万円)
ボストンマラソン15万ドル(1695万円)=2018年の優勝は川内優輝選手
でした。
日本人選手だけに限らずこの賞金は魅力の一つですが、他のスポーツのテ
ニスやゴルフ、ボクシング、チーム競技のサッカー、アメフトなどに比べ
ると決して高い金額ではないようです。
塗り替えられない記録とは
日本の金栗三四が明治時代に当時の記録を27分も縮めたことが残されている
が、正式な記録としては認められておらず、非公式な記録となってしまって
いるがもしこれが正式となってれば何十年も更新出来ない大記録であったこ
とは間違いない。この金栗三四はマラソンの一番長い時間の記録も持ってい
るのです。一番長いとは?詳しくは大河ドラマ「いだてん」の主人公はマラ
まとめ
4時間も5時間もかかる一般市民ランナーから見れば現在2時間ちょっとで走るトップアスリートは人間離れしていると思います。しかしまだ少しづつでも記録はのびていることを考えれば、例えば後100年後位に1時間30分で42.195を走っているかもしれません。
現代から見れば人間離れしている事が100年後には実現している可能性は高いのではないでしょうか。自分が走って楽しめるランニングですが、世界のトップアスリートがどのくらい凄いかを見守るのも楽しみの一つと言えるでしょう。また、2000年以降の記録更者は全てアフリカ系のエチオピアかケニアの選手になっています。ここにまた欧米が出てくるのか、はたまたアジア系が記録を出すのかというところも見逃せないところです。