ランニングを継続できるようになってくると気になってくるのは走る時のラン
ニングフォームです。より遠くにより速くより効率的に走ることはできないか?
と思うようになってくることでしょう。
人それぞれの体型やクセもあり必ずしもこれが正解はないのですが、いくつか
重要なコツを押さえて自分のランニングフォームに活かしてみましょう。
第一のコツは全身の姿勢
まずは身体の姿勢です。背筋が伸びて姿勢はいいのですが路面に対して真っ直
ぐに身体が垂直に立ってしまっていると前方に対する推進力が生まれません。
また胸を張って状態が後ろに反ってしまって重心が後ろにあると走る度にブレ
ーキが掛かってしまい効率も悪く疲れてしまいます。
壁に寄りかかるように身体を前傾させてランニングしていると前傾していない
ランナーより効率よく酸素使用量で早く走れるという研究結果も出ているよう
です。
一概に前傾といっても腰から上部を前に出す(骨盤が後傾している)姿勢の前
傾と頭から足関節までが一直線となるような前傾がありますが、頭から足関節
までが一直線となる前傾が理想となります。
頭から足関節までが一直線となるように前傾することによって
走行するとき股関節の屈展筋(大腿部膝屈筋と殿筋)が活性化できパフォーマ
ンスが上がるとされているのです。
また、この前傾姿勢は走るパフォーマンスが上がると同時に怪我のリスクを
減少させることにもつながります。
ランニーの怪我の半数は膝だと言われていて、体幹の傾きがランニーの怪我の
重要な原因の一つとして考えられ、行われた研究があります。
後傾で走る、少し前傾で走る、かなり前傾で走る。の三つの走り方をして関節
や筋肉にかかる負担を調べたものです。
垂直から10°未満の前傾 |
伸展筋の動きが落ちて踏み出しが大きくなりブレーキになると同時に膝の負担が大きくなる |
10°から16°の前傾 |
膝への圧力負担が少なくランニングする事ができる |
16°を超える前傾 |
股間接の動きに負担がかかり腰に暑直がかかる |
前傾を増す事で膝関節、足間接の負担が減ってはくるが、過度な前傾は股関節
への圧力は増していくので少し前傾(10°~16°)でかつ直線的に体幹を保つ事
が理想のランニングのフォームとなります
トレーニングは足だけではなく体幹トレーニングがランニングのパフォーマンス
をあげるのに効果的
第二のコツは足の着地
ここ数年ランニングの着地をする時に足の先から着地するフォアフット、足の
中心で着地するミッドフット、そして踵から着地するヒールストライクの走法
が何かと話題になっています。
フォアフット走法
フォアフットというとつま先というイメージがありますがつま先ではなく指の付
け根部分で着地をする走法で、ここで着地をすると衝撃の吸収が足、足首、膝と
なり、膝への負担が少なくなる走法となります。また足先かから着地して真ん中
踵と接地するので比較的ブレーキがかかりにくい効率的な走り方とも言えます。
反面脹脛の筋力を使うので脹脛の筋力強化をしていかないと怪我の元となる可能
性もあるようで。
ミッドフット走法
足の真ん中で地面にフッラットに接地するように着地をする走法です。足裏全体
で衝撃を吸収することができるので比較的脚から身体全体の負担が軽くなります。
足裏全体で着地し蹴り出すことで力のロスも少なくスピードも出しやすいと言わ
れています。
ヒールストライク走法
日本人や欧米人でも一般ランナーに多いのがヒールストライク走法でストライド
を大きく取れる走り方ではありますが、身体の重心から前目に踵から接地するこ
とから、接地ごとにブレーキがかかりやすい走法となります。この時つま先が上
がり気味で踵から膝まで真っ直ぐになっているので膝に直接負担がかかりやすく
なります。
どれが良いかはその人の体型、筋力、走るスタイル、スピードによるようですが、
一番負担が少なく効率的なのはミッドフット走法だと思います。
私もランニングを始めてから何年もどこで着地をするかなんて全く意識をしてい
ませんでしたが、最初は聞きかじりでフォアフットで走ってみたのですが、うま
く出来ず忍者のつま先走りのようになってとても走り難く長い距離走れませんで
した。それからミッドフットから着地することを意識してランニグをしてから以
前よりスピードが出せるようになりました。また膝を痛めたりすることもありま
せんでした。
とはいえ、ランニング中は常に意識しているのはなかなか大変なものですが着地
した時の音を聞き分けるようにしました。ヒールストライクでランニングしてい
ると1回1回ブレーキをかけているので走る音が「ザッ、ザッ」となります。
ミッドフットからフォアフットで走ると着地の音がほぼなくなり、蹴り出す時の
「ピシッ、ピシッ」という音になってきます。
音がしないようにランニングすることを意識すると自然とミッドフットになりや
すいでしょう。
第三のコツは腕振り
よく腕を振れ腕を振れというがそのメカニズムは?どんなものでしょう。
ただ振っても早く走れる訳ではなく、それは作用、反作用という法則によって
よりエネルギーを効率的に使えるのです。
右脚が接地から蹴りだす運動で骨盤から下は後方へ回転します。
この時右腕は右脚の運動を相殺しながら前方へ回転し肘を曲げることでその力を
減らします。
次に右脚を踏み出し骨盤から下が前方に回転するのを右腕を後ろに引くことで前
方への推進力に変えていきます。これが左右それぞれを繰り返されていくのです。
一度ほとんど腕を振らずに走ってみると腕振りの重要さがわかってくると思いま
す。
ランニングの腕振りは体幹部の極端な回転を防いで無駄なエネルギーを使わずに
推進していくためのものなのです。脚の動き(回転)の強さに対応して丁度力を
相殺できるだけの強さの腕振りが必要なので、腕だけやたらに振っても早くもな
らず、効率も悪くなります。振らないと余計な負担が体幹部にかかり無駄なエネ
ルギーすなわち酸素の消費量もが増えてスタミナ切れになってしまうのです。
それぞれのポイントを強化する筋トレ
第一ポイントの姿勢を保つたもの筋トレ
腹筋、背中、腰 プランク 30秒 2セット
サイドプランク 左右それぞれ30秒2セット
ストレートアームプランク 20秒 2セット
第二ポイントのミッドフットの着地のための筋トレ
太もも フォワードランジ 左右交互に10回 3セット
ふくらはぎ スタンディングカーフレイズ 20回 2セット
第三ポイントの腕振りを容易にするための筋トレ
肩甲骨周り リバーススノーエンジェル 30秒 2セット
もちろん全部最初からやろうとしなくて大丈夫です、回数セット数は目指
す運動量です。
例えばプランクは最初は30秒を1回やったら結構きついです
しばらくは30秒を1回できるようにしていきましょう。余裕が出てきたらもう
1セットもしくは1分に増やしてみましょう。続けていると不思議とクリアで
きてしまいます。
まとめ
全身の姿勢を真っ直ぐにして10°から16°の前傾を保つこと。足の接地点を足の
中心ミッドフットを意識すること。腕振りは下半身の回転を推進力に変える作用
なのでスピードや脚の動きに合わせた腕振りが必要。の基本3つのコツを紹介し
ました。
ランニングフォームを意識することによって怪我やトラブルになる可能性が減っ
てきます。また心肺機能や血液を通して酸素を筋肉に届ける機能も発達してきます。
レースに出るためにフォームを改善する人もそうでない人もより効率的なフォーム
で走ることによって、タイムや距離を伸ばしたり、ランニングをより継続させて、
楽しめるようになってきます。
無理せず意識するところから始めましょう。