中高年男性がちょっと気になる、ランニング中の救急トラブル

「ランニング中の救急のトラブルなんて無いよ!」と思ったら読んでください

ランニングはブームではなく一般市民に定着したスポーツになったのではないで

しょうか?休みの日だけでなくても朝や帰宅ランをしたり、昼の休みにちょっと

走ったりする人も増えたのではないでしょうか?

しかしランニング中やレースでの救急のトラブル(心肺停止など)があるのも事

実です。そうならないためにどうするか、事故の場面に居合わせたらどうするか

をみてみましょう。



目次

今の日本にランニング人口は?
ランニング中の救急トラブルとは?
トラブルにならない為の自分のケア
もし自分の周りで心肺停止事故などで人が倒れたら
心肺蘇生の実際の方法や手順
まとめ

今の日本にランニング人口は?

2018年のランニング人口は年1回以上のジョギング、ランニングをしたことがあ

る人は人口の9.3% で約964万人となっています。

性別で見てみると男性が12,9%で約646万人、女性が5.8%で311万人になります。

それが週1回の実施になると全体は5.3%、男性は7.8%女性が2.8%

年代別だと


30歳代   全体8.3%   男性11.8%   女性4.7%

40歳代   全体4.5%   男性6.9%   女性2.1%

50歳代   全体5.8%   男性9.9%   女性1.7%

60歳代   全体3.7%   男性6.5%   女性1.0%

70歳代以上 全体2.3%   男性3.1%   女性1.7%


資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書」より

20歳代30歳代の割合が多いなと思いますが、日本の人口ピラミッドをみると

40歳代から60歳代がボリュームゾーンなのでやはりこの年代の男性のランニン

グ人口が多いとみてよいでしょう。

私もそうですが、40歳代になると健康に気を使うようになったり、メタボが気

になったりしてランニングを始める人が多くなる年代なのではないでしょうか?

そして全国各地で誰でも参加できるレースや大会も増えて一般市民ランナーが

走る機会が多くなっていますが、それに伴ってランニング中のトラブルも多く

なっているように思います。

私が参加したホノルルマラソンを含めたレースでは何回か救急車が来ているの

を見たことがあります。

救急車ということは膝や足が痛くなるというトラブルではなく心肺停止に関わ

るトラブルかと思われます。

ランニング中のトラブルとは?

心肺停止はもちろんランニングだけではなく他のスポーツや日常生活でも起こり

うることです。普段のランニングもそうですがやはりレースや大会など普段より

長時間、長距離を走る時は心肺停止のリスクも増えることがあるようです。

米国の医学雑誌「The new england journal of medicin」によると米国のレース

中の心肺停止の発生はフルマラソン、ハーフマラソンの参加者で184000分の1の

割合となっています。

性別でいうと女性より男性の方が5.6倍多いとなっている。

一方日本、東京マラソンのデータによると過去の12回の大会中11名が心肺停止に

陥ったとなっています。(ちなみに東京マラソンの救命率は100%で全員が救命さ

れています)

東京マラソンのこの数字は米国の4.8倍高い率になるようです。

心肺停止の原因は心臓が原因の場合、呼吸が原因の場合、また外傷、溺水、窒息

などの外因性、とその他とあるようですが、ランニング中の心肺停止は心臓が原

因が多く、心臓が血液を送り出せなくなる状態になってしまうのです。

ただこの様な状態でも心臓が全く停止してしまっている訳ではなく、心臓の動き

が小刻みに震えている「心室細動」という状態になっていることが多いのです。

これは東京マラソンのデータの様に「AED」の使用など早期に適切な救命処置に

よって回復、社会復帰の可能性が高まる様です。

まして通常的にランニングをしているのであれば基本的には普段は健康的な生活

をしてるということなので、迅速な対応をすることでより回復、初回復帰の率は

より高まると期待してよいのではないでしょうか。

とは言ってもまずは自分で気をつける事や、ランニングする上で知っておくべき

事、やるべき事があります。




トラブルにならない為の自分のケア

日本体力医学会ガイドライン検討委員会及び公益財団法人日本陸上競技連盟医事

委員会が共同で策定し平成25年に発表している

「マラソンに取り組む市民ランナーの安全 10 か条」

というものがあります。


内容は

1.普段から十分な栄養と睡眠をとりましょう。

2.喫煙習慣をやめましょう。

3.メディカルチェックを毎年受けましょう。

4.生活習慣病がある方は、かかりつけ医とよく相談しましょう。

5.計画的なトレーニングをしましょう。

6.気温、湿度に適したウエアの着用と、適切な水分補給をしましょう。

7.胸部不快感、胸痛、冷や汗、フラツキなどがあれば、すぐに走るのを中断 しま

 しょう。

8.足、膝、腰などに痛みがあれば、早めに対応しましょう。

9.完走する見通しや体調に不安があれば、やめる勇気を持ちましょう。

10.心肺蘇生法を身につけましょう。


1、ダイエットの為にランニングを初めたからと言って極度の食事制限はエネルギ

  ーの不足や筋肉や骨の合成を妨げます。また寝不足は疲労回復を遅らせ疲労を

  蓄積させる 原因となってしまいます。

2、心疾患の危険因子となり、有酸素運動の能力低下の原因にもなります。

3、普段のランニングもレース参加も自己責任になります。定期的な医師による

  メディカルチェックを受け異常などがあったり気になることは医師に相談し

  ましょう。

4、生活習慣病はランニングによって改善することもありますが、ランニングに

  よる身体への負担もあります。レースの参加は医師と相談しましょう。

※日常的に血圧などを計るなどの自己管理をしておきたいですね

5、フルマラソンでもハーフマラソンでも普段ではする事がない長距離、長時間

  を走るこのとになります。やはりこれらに向けて計画的なトレーニングをし

  て身体を慣らしてからトライする事が望ましいです。

6、暑い時、寒い時、雨の時などに合わせて十分な機能を持ったウエアと水分や

  エネルギー補給の食品など万全の用意しましょう。

7、ランニング中に今までに感じた事がない胸部不快感、胸痛、冷や汗、フラツ

  キなどがあったら直ぐにランニングな中止しましょう。

  心肺停止事故の可能性がある症状なので早めに医師に相談しましょう。

8、足や腰、筋肉や関節などの痛みも無理をせず適切なケアと休息が必要です。

  フォームの改善やシューズなどの変更等々をしてみましょう。

9、レースだけにかかわらず通常のトレーニング時もスタート前に体調を確認し

  て、風邪気味や熱がある、寝不足、何処かに痛みがある、下痢腹痛などの症

  状で不調や不安があれば中止する勇気を持ちましょう。

10、もしレース中やランニング中に心肺停止事故を目撃したり周りで起こったら

  どう行動するかを覚えておきましょう。

もし自分の周りで心肺停止事故などで人が倒れたら

レースなどの場合はコース上に救護所がいくつも設置されて医療救護員なども配

置されていますが、それでもどこで事故が起きるかはわかりません。

公園や普通の道でのランニング中であれば救急車などの到着までに時間がかかり

ます。その場に居合わせた人が心肺蘇生法を知っているか知らないかは命に関わ

ってきます。

心肺停止を救う為の理想的な連携を表した「救命の連鎖;The Chain of Survival」

というものがあります。

救命の連鎖は4つの輪から成っており、全ての輪が連携される事で救命率が高まっ

てくるとされています。

いくら周りに居合わせた人が素早く的確に心肺蘇生をしていても119番通報が遅

ったら救急車の到着が遅れてしまいます。

また救急車が早く到着しても初動の心肺蘇生が行われていなければ救命の確率は

下がってしまいます。

順番通りに素早く的確に連携されていく事が大切なのです。

まずは直ぐに119番に通報、誰かにAEDを持って来てもらう様に頼み、心肺蘇生

をします。周りに何人かいれば同時に行動する事が望ましいです。




心肺蘇生の実際の方法や手順

心肺蘇生が必要な場合は以下の様な状態です。

この場合は躊躇なく心肺蘇生を開始します

1反応がない

2呼吸がない

3あえぐ様な呼吸

胸骨圧迫を強く、速く押して質を保つ事が大切な様です。

胸骨圧迫はやたらに交代するとその質が保たれなくなります。

中断を最小限にする事が推奨されています。

AEDを装着すればメッセージ通りに行うことになります。

 

一般の人ができるのはここまでです。

脈の有無などは医療関係者でない一般の人では判断がつかないので意味があり

ません。それよりもいち早く胸部圧迫をする事が先決です。倒れた人をやたら

に動かさない方が良いと言って行動が遅れる場合もある様です。

厚生労働省の通達で、一般市民が心肺蘇生を行なって万が一合併症が起こって

も責任を問われる様なことは絶対にありません。

救急車到着後は医療関係者の指示に従います。

まとめ

自分の体力や身体に自信があっても、様々な条件によって何が起こるかは分か

りません。僅かな割合でも心肺停止事故は起こるものです。

まずは自分の体調管理をしっかりする事と、休む止める勇気を持つ事が自分を

守ることになります。

そして事故を見かけたり遭遇したら出来るだけ冷静に「救命に連鎖」を思い出

し躊躇なく通報、心肺蘇生などをする事が救命率を上げる事につながります。

普段のランニングもレースも事故なく楽しくできる様に安全10ヶ条や救命の連

鎖などは心に留めておきましょう。

それでは Enjoy Running!

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